2008年09月08日

『怪談牡丹燈籠』花組芝居 あうるすぽっと

東池袋に新しくできたライズアリーナビルの中に、豊島区立中央図書館と、同じく区立の舞台芸術交流センター あうるすぽっとがある。劇場の方に初めて行ってきた。席数は300人程、こぢんまりして使いやすそうな劇場。

花組初の三遊亭円朝もの。牡丹燈籠は、お露新三郎の怪談部分が有名で、そのほかに新劇や歌舞伎の大西信行脚本では伴蔵お峰の因果応報譚が中心となる。しかし本来の落語で核となるのは、大西版ですっぱり削除されてしまった黒川孝助の仇打ち話なのだ。
これまで『婦系図』や『KANADEHON忠臣蔵』など花組の“原作を全部やります”シリーズ(と勝手に呼んでいる)は、あ、こんな話だったのか!と改めて気付かされ、とても面白かった。今回も期待にたがわぬ出来でした。
お露新三郎、伴蔵お峰、飯島家中が交互に出てくるが、場面転換をスムーズにするため、セットはすべてL字型に固定されたたくさんの戸板の並べ替えで表わされる。『忠臣蔵』の討ち入りの場面では1枚ずつの戸板をたくさん使って屋敷内を表していたが、今回はその応用。壁になり、障子になり、襖になり、屏風になり、どんどん変化する。

お露(大井)・新三郎(美斉津)パートは、ややコミカルに。お露とお米(磯村)の「からーん」「ころーん」の掛け合いが可笑しい。牡丹燈籠(谷山)もいるだけで可笑しい。
伴蔵(小林)・お峰(加納)パートは世話物。少し前に仁左玉で見たところなので、もうちょっとイチャコラ(笑)と可愛くしてくれても良かったが、ここはあっさり小悪党として描く。むしろ源次郎(各務)・お国(八代)が可愛らしい。八代さんはほんとに、憎々しくて、でも愛嬌があるという役が上手いなあ。
飯島平左衛門(水下)と孝助(丸川)はまっすぐな主従関係。水下さんに男気のある役をやらせるのは反則です。格好良すぎる。丸川さんは抜擢に応えた。孝助のパートは基本的に勧善懲悪の物語なのだが、最後の仇討場面の凄惨さが、思い詰めてしまった人の人間性を吹っ飛ばした恐ろしさを見せていて、実は善も悪もほどほどが良いというのが真の結論なのかもしれない。
そのほか、若い世代には新人を配置、老け役はベテラン勢で固めて、バランスの良い座組だった。植本さんが外部出演(?)で不在だったが、今回はこれでちょうど良かったかも。
円朝役は桂さん。由良之助をやってから、何だかひとつ山を越えた気がする。これからこういう流れを導いていく役が増えるんだろうか。今なら学円@夜叉ヶ池ができそう。

やっぱり花組は好きだなあ。いちばん、自分の中にすっと入ってくる。15日までです。見に行ってください。
パンフレットに加納・植本&白石加代子の鼎談が載っていたが、今日はその白石さんをお見かけした。白石さんの牡丹燈籠も観に行きたい。
posted by kul at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 演劇/舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
早速、オススメに従い見に行ってきました。
前日予約で前から四列目中央。

面白かったです。語りモノがスムーズに芝居になっていて、その上下を切るような展開の速さが気持ちよかったです。くすぐりのように入るギャグも、落語的な人物造型も好きでした。
水下さん、カッコよかったですねー。
Posted by のーとみ at 2008年09月12日 02:43
>のーとみ様
こんにちは。観に行っていただいてありがとうございます。
落語好きの方のご感想を聞きたかったのです。面白かったようで良かった!
かれこれ18年ばかり通っているので、これは普通に見ても面白いのか、慣らされて面白いのか、とよくわからなくなるときがあるのです。

上でも書きましたが、水下さんのあの役は反則です(笑)
Posted by kul at 2008年09月12日 20:33
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