2009年05月08日

『東京大学のアルバート・アイラー』

大阪へ出かける前に、薦められていた『東京大学のアルバート・アイラー 東大ジャズ講義録・歴史編』(菊地成孔・大谷能生/文春文庫)を買って持って行った。連休中に後編の『同・キーワード編』まで一気に読んだ。面白かった!
2004年に東大で行われたジャズ史の講義録。2人で行った講義が、大谷氏によって菊地氏の一人語りのように書き起こされているので、それこそラジオでDJの語りを聴くように、話の筋がブレずにスルスル読める。
『歴史編』(前期講義)は、音楽史の中に「音楽を再現可能なものにする」「音楽を解き明かす」という大きな欲求があって、そのための法則を見つけ洗練させる(=記号化・システム化する)一方で、法則=枠組を打ち破ろう、つまり新たな法則を見つけようという衝動もあってジャズの歴史が積み重ねられてきたという流れについて。で、その流れに、商業上の思惑とか、世情とか、レイシックな影響とか、技術革新(電化・磁化)とか、いろいろな支流が合わさっては、また流れが分かれていく。
『キーワード編』(後期講義)は、前期に取りこぼした事柄とその後について、1か月ごとに「ブルース」「ダンス」「即興」「カウンター/ポスト・バークリー」のキーワードを立て、月の最後の講義はゲストを招いての特別講義と質疑応答。
実のところジャズにはまったく詳しくないので、音源の8割方はわからないのだが、おおぅ、アレとコレがこう繋がるのかとワクワクしっ放しで読んだ。面白すぎる歴史書は、他の見方をできなくなりそうで危険だ。菊地氏自ら「ジャズ史に限らず、およそ人間が編纂する歴史は全て偽史である。」と言うように、ここで語られたジャズ史も「偽史」である、自分の視座を持たねばならぬ、と肝に銘じておかねば。音源はこれから読み返しつつのんびり聴いていきますが、この講義、モグってみたかったなあ。

↓は、YouTubeを使ったまとめ。一部動画が削除されていて残念だが、助かる&おもしろい〜。
赤の女王とお茶を
Youtubeで読むジャズ史「東京大学のアルバート・アイラー」(その1)
Youtubeで読むジャズ史「東京大学のアルバートアイラー」(その2)
Youtubeで観るジャズ・ピアノの系譜

それにしても菊地成孔が菊地秀行の弟というのは、やっぱり吃驚です。
posted by kul at 22:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 本/漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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