2009年05月11日

『神様とその他の変種』ナイロン100℃ 本多劇場

過剰なるもの 不足なるもの
できそこないが 神を出しぬく
ほら届かない 神様の華奢な短い腕じゃ僕らの場所には

長すぎるもの 太すぎるもの
鼻をのばして 象がつぶやく
今さらだけど 神よ気まぐれを 謝るなら許してやるぜと

(ケラ&ザ・シンセサイザーズ/「神様とその他の変種」)

最初期の1作を除き、自作の曲名を芝居のタイトルに流用することのなかったケラが、今回ばかりはこの曲名をタイトルとして、劇中でテーマソングとしても使った。そうして、手前味噌では終わらずに、ちゃんとそれぞれにイメージを補完しあっていて、エンディングでは深くため息をついた。いい曲だなあ。

ケラの芝居は物語としては常に悲劇で、どうしようもない絶望感が高じてヒステリックな笑いが生まれることが多かったのだけれど、いつ頃からか、絶望が取り立てて騒ぐこともない常態と化しているというか、悟ってもいないのに初めから諦観が垂れこめているというか、話はすごく面白くて可笑しいのに見ていて苦しくなるようになった。部屋の中に降る土砂降りの雨も知らぬ気な登場人物たち。嘆いても雨は上がらないので、神様は叩き出して、雨は気にせずにいるしか対抗手段がない。
ストレスにそれぞれのやり方で過剰に反応して、何も解決してないことが明らかになって、あてにならない(ホームレスでストーカーで下着泥の)神様にではなく大事なものに祈る。神様がいなくても絶望していても生きていく方法を、ケラはずっと探しているのだと思う。

ミステリーか、サスペンスか、と思わせながら進んで行って、実はごくありふれた(?)矮小な出来事に着地させる展開が上手かった。で、最後まで緊張感を持続させられる役者陣が、やっぱり上手い。ナイロンを観に行くたびに同じことを書いてるけれど、本当に役者が上手いんだもの。
オープニングも相変わらず格好良かった。格子柄、格子窓はああいう風に使えるのか。

コクーンで演って、ラストに後ろの搬入口が開いてゾウが出てきたら面白いねー、などと話しながら帰る。
posted by kul at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇/舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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