2007年04月14日

「動物絵画の100年 1751-1850」府中市美術館

午後から府中の森の中の府中市美術館へ。残念ながら前期は見逃してしまった。
政情が長く安定していて、中国絵画・西洋絵画が民間にも広まって、博物学的な興味も高まって、という18世紀後半から19世紀前半には、様々な意図・趣向で動物絵画が描かれるようになった。それを集めて眺めてみようという企画展です。
大きな目当ては、若冲と蘆雪。若冲「隠元豆・玉蜀黍図」双幅は、輪郭線を描かない没骨法で描かれた作品だが、それだけでなく、わざと水っぽいにじみを避けて、石碑拓本のような枯れた雰囲気に仕上げてある。「乗興舟」等の拓版画と、どっちが先に制作されたのだろう。「隠元豆図」には、バッタと考え込むような顔の横向きのカエル。「玉蜀黍図」には、楽しげな雀。「鶴・鯉・親子鶏図」の三幅は、手馴れた題材でスルスルと気持ちの良い線。
蘆雪は、何と言っても今回のポスターにも使われた「虎図」。眼光は鋭いが、毛並みはさわるとふかふかそう。ぶっとい前脚にもうっとりだ。子犬達と子供達を描いた「一笑図」も良かった。何気なくささっと描いてありそうな線だが、メチャウマである。「一笑」の意味がわからなかったのだが、図録によると、「竹」と「犬」で「笑」になるので、この題材の絵をこう呼ぶとのこと。電線にとまったような「群雀図」も可愛らしいが、手足尾を引っ込めて顔だけちょっと出した「亀図」が蘆雪らしくて好きだ。
虎図はたくさんあったが、虎の頭骨を輸入してまでリアルを追求した迫力満点の岸駒の虎と、反対に「こりゃあ猫だ」の東東洋の虎が良かった。後者は、まあるいフキノトウのそばに、ふてぶてしく悪戯を考える猫のような虎がまあるくうずくまっているのだ。可笑しい。東東洋は、仙台の絵師だそうだ。他の作品もクスリと笑ってしまうような愛嬌がある。
写実の方では、宋紫石「柳下白鶏図」。鶏が哲学的な顔をしている。孫の宋紫岡「栗鼠図」。リスが身軽で可愛い! 作者不詳、明代の「雪中花鳥図」。若冲はこういう作品を見ながら画風を作っていったのだろう。司馬江漢に師事していた(?)秋田の絵師、小野田直武「鷺図」。花鳥画の中に遠近法や物の陰影が現れると、ものすごい違和感(笑)。
東東洋と同じ仙台の絵師、菅井梅関「昇竜図」は薄墨の雲海・雨・海原と横にきっぱり分けた構図が面白い。仙台に行けば、他の作品も見られるか?

府中市美術館の企画展は、いつも目の付けどころが良くて良い作品を集めてくるなあという印象。図録も解説が丁寧で、読み物としても面白いです。


posted by kul at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展/イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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