今回の「名所江戸百景」は、栄光教育文化研究所所蔵のもの。ちょうど復刻版画の摺りの実演が行われる日だったので、前期展示を見に出かける。当日券は700円、前・後期の共通券は1000円也。
着いたら、もう午前中の実演が始まっていた。イベント案内では11時〜と14時〜の2回(各1時間半位)となっているが、1日かけて1枚の作品を刷り上げるようです。今日のお題は「浅草金龍山」。摺師は鉄井孝之氏(浮世絵彫摺技術保存協会理事長、江戸木版画伝統工芸師)。途中でいろいろ説明を受けたり、質問することもできます。
「浅草金龍山」の版木は、全部で6枚。裏表にそれぞれ別の版が彫ってある。1つの版面を色によって一部分だけ使ったり、同じ版面を使って色を重ねたりするので、数えるのを忘れていたが出来上がりまでに20版以上になる。
やはり感動したのは、ぼかしの部分。ぼかしは広重のトレードマークとも言えるが、これを実際に表現しているのは、まったくの摺師の技巧による。版木に傾斜を彫り込んであるわけではなく、平面の部分に水を含ませて色を置き、膠を置き、雑巾で余分を拭き取る。これでぼかしが表現される。手間がかかるので、売れた後の後摺りになると、ただのベタに手抜きされていたりもする。どの摺りを見たかによって浮世絵の印象が全然違ってしまうのも道理だ。どれが正しい、と言えないいい加減さやライブ感がまた面白い。
展示の方は、大半を間近で見ることができます。遠景の細かい人物達が、単純な線なのに何をやっているかわかるのがすごい。1室だけショーケース越しで遠かったのが残念。この部屋では、「名所江戸百景」と、描かれた地点の現在の写真をスライドで比較できるようになっていたが、版画の構図と同様の景色が残っているのは「浅草金龍山」だけです。建物どころか、地形ですらずいぶん変わっているものね。
摺りの実演は、6月2日にもう一度行われます。また行こう。
2007年05月12日
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