2007年09月11日

蕭白の虎渓三笑図

「虎渓三笑図」は京都国立博物館の蕭白展で既に見ていたらしい。あのときは他に強烈な作品が多すぎて、山水画のことをあまり覚えていないようです。惜しいことをした。

ところで、蕭白の虎渓三笑図は2つあって、今回見てきたのはこちら。
○「虎渓三笑図」(千葉市美術館蔵)

もうひとつ、こういうのもある。こちらは未見。
○「虎渓三笑図」(インディアナポリス美術館蔵)

虎渓三笑という画題は、こういうもの。
東晋の僧、慧遠(334-416)は、江西省廬山に東林寺を建てて隠棲し、俗界禁足して30年間山を出なかった。訪ねてきた客人を見送るときも、山の下にある虎渓の小さな橋を越えることがなかった。ある日、友人の陶淵明(365-427)と陸修静(406-477)を送って行って、道中話が弾んだ。遠くの虎の鳴き声で我に返ると、いつの間にか虎渓の橋を越えていて、3人は大いに笑った。

生没年を見ればわかるように作り話だが、慧遠(=仏教)、陶淵明(=儒教)、陸修静(=道教)ということで、儒道仏が融合する唐以降に三教一体を示すものとして広まった説話とのこと。

画題に沿った絵ということでは、インディアナポリス美術館蔵の方が一般的な構図…一般的というにはあやしすぎるか。一般的というのはこういうの(小泉斐)か? 何にせよ、虎渓三笑図は普通、3人の人物が楽しそうに笑っていることがポイントの人物画なわけだが、千葉市美術館蔵の蕭白「虎渓三笑図」は、人物は下の方に小さく描かれ、ほとんど山水画になっている変わり種なのです。でも実は、虎渓三笑ではなく廬山を描きたくて、3人描くことで「ここは廬山ですよ」というのを示したのかも。

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勉強を兼ねて、ときどき画題についてまとめておこうと思います。

あ、曾我蕭白については、無為庵乃書窓さんのこちらのページが詳しいです。
posted by kul at 21:36| Comment(0) | TrackBack(1) | 画題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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