2007年11月13日

「狩野永徳」展 京都国立博物館

10:30頃に着いたら、平日にも関わらず既に80分待ちの行列。日曜は同じ時間で120分待ちだったというから、まだマシなのか。今日は雨が降らなくて幸いでした。

日本画は2000年の若冲展@京都国立博物館(の図録)と辻惟雄氏の『奇想の系譜』から入ったので、狩野山楽・山雪は見ていても、狩野派の本流(?)に興味を持つには6・7年がかかったことになる。応挙を面白いと思うにも5年位かかったのだよね。ものに出会うための準備や時期ってあるものだなあと思う。

狩野永徳展と銘打ち、新発見・初公開の作品があるものの、永徳の真筆はやっぱり少ないので、半数は祖父・元信、父・松栄、息子・光信や狩野派工房の作品。永徳のルーツとその後の狩野派への影響と変化を辿る展示。大きな障壁画が多いので、有名な「洛中洛外図屏風」前を除けば、会場内は入口の行列の割には動きやすかった。

まずは「洛中洛外図屏風」のことなのですが、風俗には詳しくないので、金箔の雲について。雲のキラキラしさが、まったく嫌味・悪趣味でないのが不思議。雲の向こうに、京の都が大事に守られ保存されているような感覚。
で、この雲のために画面全体に妙な立体感がある。“妙な立体感”というのは、ほかの永徳作品にも言えることで、「檜図屏風」を見ていると、3DCGを見ている気分になる。写実的、奥行きというのとはまた違って、3DCGの何となく違和感の残る立体感を連想する。何でかなーと考えてみるに、ものが重なっているところで、手前をとても強調しているからではないかと。「洛中洛外図屏風」だと、建物の向こうから、人物の向こうから、松の枝の向こうから雲が湧きだしていて、雲のまた向こうに別の情景があるというのが繰り返される。雲の下に京の都があって、雲の切れ間から見下ろしているんじゃないんだよね。建物の描き方は鳥瞰図ではあるけれど、心理的に視点が低い位置にあるような感じ。だから広がりを感じるし、京の町並みが立体的に立ち上がってくるように思われるのではないだろうか。

狩野派工房は扇面画の制作を多く手がけていたそうだが、永徳自身は大作制作に忙しくて扇面画をそれほど描いていない。数少ない扇面画であっと思ったのは、扇面を意識した構図。
日本(や明・清)の扇面画は、基本的に扇の形状に合わせて湾曲した構図になっている。つまり、縦の線はだいたい扇の要に向かって一点透視となるように、水平線・地平線は扇面の端と同心円になるように描かれる訳です。永徳の扇面画もそうなっているんだが、一点透視に違和感がないようにやや俯瞰の構図で描かれているように思われる。うーん、気付かなかっただけで他の人のもそうなっていたのかしらん。

最後の展示室は「壮大なる金碧大画」と題して、「唐獅子図屏風」「老松図屏風」「檜図屏風」「松図襖」「老松桜図屏風」の大作に取り囲まれる。国宝の「唐獅子図屏風」なんて、絵柄はよく知っていてもこんなに大きかったのか!と吃驚する。圧倒されて小市民には落ち着きません(笑)。桃山!絢爛!豪放!ちゅー感じ。『芸術新潮』11月号の永徳特集にもあったように、群雄割拠して覇を競う時代だから描けた絵なんだろうな。画面に収まりきらずにどんどん突き抜けていくような構図が、江戸時代になると画面の中に品良く収まるか(探幽)、無理やりにも押し込めるか(山楽・山雪)されていく。絵は時代の空気でもあるし、絵師の内面でもあるし、そのバランスが面白いなあと思う。

出口の掲示で、2010年に長谷川等伯展開催決定とのこと。それも「お!」ですが、その前に来年4月8日(火)〜5月11日(日)には河鍋暁斎展があるですと! うわーん、お江戸・東京の絵師なのに、どうして京都でやるんだよー。京博が若冲、蕭白、ときて次は暁斎というのはわかりますけどね。もっと頑張ってよー>東京国立博物館、と思うよね。開催時期にちょうどアウェイG大阪戦が重なるとありがたいんだが。

余談。京博の花形学芸員と言えば狩野博幸氏だったが、『芸術新潮』を見ていたら、今年から同志社大の教授として転出されていたのね。後継の学芸員の方々が、同じように(それ以上に)面白い、良い展示を企画していってくれることを期待します。
posted by kul at 23:59| Comment(0) | TrackBack(3) | 美術展/イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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