2007年01月25日

『ギメ東洋美術館浮世絵名品展』太田記念美術館

展示替えの前に行かねば、と午後に出かけていったら、平日だというのにまた1時間待ちの行列だった。納富さん、寒い中お付き合いいただきすみませんでした。うーん、そんなに派手な作品は来ていないのだが、こうなるとTV(NHK?)でどんな紹介のされ方をしたのかが、とても気になる。

一応、目玉となるのは北斎の「龍虎図」双幅。向かって右を睨んだ「雨中の虎」は、太田記念美術館蔵。それと向かい合って掴みかかろうとする「龍図」は、ギメ東洋美術館蔵。2005年7〜8月にギメ東洋美術館で行われた『太田記念美術館所蔵大浮世絵名品展』の開催の際に、対であることが確認され、今回初めて並べて展示されるというもの。言われてみれば、表装が同じだ。でも両方とも龍の文様なので、「雨中の虎」の方は虎文様にしてあげたいところだ。「雨中の虎」だけだと、右上が妙に空いた感じがするのだが、2つ並べると、ちょうど良いバランスになる。龍がやや上向き加減だけれど、両者の視線もがっちり噛み合っている。どうして片方だけ海外へ行ってしまったのかね? で、江戸博でも思ったけれど、こういうアニメっぽいケレン味たっぷりの作品を齢90の爺ちゃんが描いているというのだから、北斎という人の中身の若さ・好奇心・探究心には恐れ入る。
北斎では、他に「海老図扇面」が良かった。海老がプリプリして美味しそう(笑)。横向きの「つ」の字の形のと、正面向きのと2匹の海老が描かれているのだけれど、正面向きの方の何だかごちゃごちゃしてよくわからない脚の部分は、あっさり薄墨のシルエットだけになっている。描き込みと省略のバランスが良いのだ。

版画は、鳥居派等や写楽の役者絵・力士絵、春信や湖龍斎、歌麿等の美人画・風俗画、北斎、広重とメジャー所の他に、「誰某の弟子」というようなマニアックなものも多い。美人画・風俗画には、何となく共通する顔の好みがあるような気がする。浮世絵は、空摺りの着物の文様とか、紗の表現が好きだなあ。
岳亭五岳「三味線を持った美人と猫」は、漆塗りの煙草盆(?よく覚えてない)に猫が映り込んで、本物とにらめっこしているのが面白い。歌川国貞「花鳥風月 風」は、遊女が客の待つ座敷へ入ろうとするところ。障子の向こうに客の影が映る。実体のないものを表現しようとしている絵も好きだ。
いくつか動植物絵もあって、北尾重政「野葡萄を食べる兎」が良かった。西洋の銅版画っぽい。

ギメが来日した際に河鍋暁斎から贈られた「釈迦如来図」も、順路の最後に展示されていた。書籍では見慣れた絵なのだけれど、こんなに小さい作品だったとは。この画面にこの描き込み、ド迫力。ああ、やっぱり格好良いなあ、暁斎。

会期中、前・後期で2度の展示替えなのかと思っていたら、前・後期の中でもさらに2回展示替えが行われていた。今回、地下は物販になっているので、何となく割高な展示構成です(苦笑)。
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2007年01月20日

赤瀬川原平−大平健トークセッション「ことばときもち」

12月から池袋ジュンク堂で赤瀬川原平書店(「(人名)書店」は、作家自身が推薦する本を集めたコーナー)がオープンしている。期間中、何度かトークセッションが行われ、その2回目は精神科医の大平さんとの対談。1回目の相手は松田哲夫氏だったのだが、休日出勤で行けなかったのだ。うう。

一応、「ことばときもち」とお題はあるものの、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、非常にゆるーくのんびりとした対談でした。原平さんは鼻炎が大変そうです。以下、覚書。

・精神科のお師匠さん「理論を人間に当てはめようとするとズレが生じる」「概念で説明しようとすると見えるものも見えなくなる」
・楕円の茶室。饒舌な中心と沈黙の中心。
・「楕円幻想」(『復興期の精神』花田清輝)
・説明できない辺縁が面白い。錯覚。創作の元。
・なめこのヌルヌルはどこまで洗うか。ヌルヌルは身体に良いのだ。ナマコのヌルヌルを塩もみしすぎると、本体が無くなっちゃう。
・犬の嗅覚の世界は輪郭があやふやだろう。イルカの聴覚の世界では、相手の内臓の様子も伝わるので争いがない。
・犬の介護。老人力の極みの人の介護。言葉が通じなくても、毎日話しかける。反応の違いで気持ちが伝わる。
・松田氏「本心で面白いと思ってTVで紹介した本は売れる。言葉だけだとダメ」
・TVも四角。四角の枠に収めると見え方が変わる。
・鏡も四角。鏡を見るとき、人の顔は変わる。素の自分は見えない。
・自分で見られない自分を見てもらいに病院へ行く。精神科医はハラの中を見る。患者の世界をフレームの中に整理して、テーマと余白をはっきりさせるのが仕事。錯覚を省いてはっきりさせるから、せっかちになる。
・自然には余白がない。
・人物画の余白=風景。名所の絵はあったけど、純粋な風景画の発生時期はいつ頃か? 印象派の頃か?
・印象派の時代に「精神病」が生まれた。フロイト。フレームの四角い風景と、精神病は関係ある?
・精神病にも流行り廃りがある。病気は、治療法が出た頃には沈静化していることが多い。
・貧乏性。ネジを打ち出した廃材の、贅沢なドブ板。二笑亭はデュシャンみたい。
・路上観察。立体視。違う見方は難しい。理屈で入るとダメ。ボンヤリする。本人にその気はないのに、貧乏性にあれもこれも、近道のつもりが間違えて、非線形に動いてしまう。
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2007年01月05日

メモ

ギメ東洋美術館所蔵 浮世絵名品展 太田記念美術館
 【前期】1月3日(水)〜26日(金)
 【後期】2月1日(金)〜25日(日)

江戸城展 江戸東京博物館
 1月2日(火)〜3月4日(日)
 ※1月27日(土)にシンポジウム

館蔵 花鳥画展 大倉集古館
 1月2日(火)〜3月18日(日)

ルオー 伝説的風景展 松下電工 汐留ミュージアム
 12月23日(土)〜1月28日(日)

スーパーエッシャー展 Bunkamura ザ・ミュージアム
 11月11日(土)〜1月13日(土)

第51回現代書道二十人展 上野松坂屋本館6階
 1月2日(火)〜1月8日(月)

わー、後ろの2つに早く行かにゃー。
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2006年12月15日

ひらけ、そら!

OpenSky 2.0」12/15-3/11 ICC(東京オペラシティタワー4階)他

“OpenSky”は、メーヴェ@ナウシカのような個人用飛行装置を実現化しようというプロジェクト。プロジェクトの発案者は、ポスペでおなじみの八谷和彦氏。
企画展が今日から始まります。いよいよジェットエンジンを搭載するところまで来たんだなあ。3/3のタカノ綾さんと八谷氏のトークイベントに行きたいです、が、Jリーグの日程次第だな…。

メーヴェを見ると、乗ってみたいなーと思う。高所恐怖症だが、飛行機は平気なんだよね。多分、ヘリも平気だと思う。あまりに高いところすぎて、現実感がないんだろう。高層ビルの展望台から足元を見るとか、ジェットコースターの上とか、吊橋とかは、半端にリアリティがあってダメです。木登りはどれだけ上でも平気です。ということは、人間の構造物を信用してないということかもしれん。どうでもいいけど、上野の国立博物館の正面入口前にあるユリノキを見る度に登りたくて仕方がないです。大木を見ると、山育ちの血が騒ぐのだ。
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2006年11月25日

『江戸の誘惑』展 江戸東京博物館

ボストン美術館、ビゲローコレクションの肉筆浮世絵の里帰り展。江戸博の特別展示室は狭いので、できれば他の会場でやってほしかった。土曜ということもあって、狭い通路は大混雑。で、また、最初の展示作品が図巻なもので、入口から中へ入るにも時間がかかる。構成が甘いなあ。デパートの催事場で開催しているようだった。…評価が辛辣なのは、江戸博が好きじゃないためです。

江戸絵画は、若冲から入ったため、動植物・風景・神仙を中心に見てきて、浮世絵(人物・風俗)はまだまだわからないことが多い。今回は、単純にファッションカタログとしても面白かった。制作年代と江戸の歴史について知識があれば、もっと楽しんで見られるだろう。

印象に残ったもの。
歌川豊国が好きなので、やっぱり「芸妓と仲居」。大幅なこともあるが、着物の柄の精緻さときたら! 芸妓の読む恋文を通りすがりに仲居がちょいと覗く、というテーマも婀娜っぽい。
鳥文斎栄之も好き。中でも三幅対の「柳美人図・桜美人図・楓美人図」。この人の色彩感覚は、現代的(西洋風?)だと思う。
鈴木春重(司馬江漢)の「雪景美人図」。絵が好きというより、表装が好き。笹や石灯籠に雪の積もった庭を眺める美人図だが、中縁の裂も雪の積もった笹の葉。これに限らず、他の作品の表装も格好良かったなあ。
勝川春章「石橋図」。春章はポーズの完成度が高いと思う。こういう、舞踊の一瞬を捉えたものは尚更。
歌川豊春「女万歳図」。2人の女性の足元に、影が描いてあるように見えるのだが、違うのかな。ちょっと驚く。

あと、葛飾北斎は、やはり別格。今回の中では「大原女図」が好き。戴斗号時代のもので、上品なのに色っぽい。宣伝ビジュアルに使われていた「鳳凰図屏風」は76歳の時、「唐獅子図」は85歳の時の作だ。この爺さんは本当に只者ではない。鳳凰は、手塚治虫とか、誰かアニメーターが描いたと言っても、疑われないだろう。このマットな表現と流し目の感じは凄い。

もう一つ、妖怪好きとしては、鳥山石燕「百鬼夜行図巻」。肉筆版の妖怪図鑑で現存が確認されているのは、これだけとのこと。石燕が、普通の(?)絵師としても高い技術を持っていたことがわかる。妖怪が順に登場した後、最後は昇る朝日に妖怪達がわらわらと退散していく場面がシルエットで描かれる。この去って行く様子が、図巻の中に物語を作っていて格好良いのだ。

展示を見ながら、年配のご夫婦が、「外に持って行ってもらっておいて良かったねえ」「日本に有ったら、空襲で焼けてただろうからねえ」という話をされていて、そういう考え方もあるか、と思いました。
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2006年10月26日

プライスコレクションin京都

若冲らの名画、素顔堪能──京都で江戸絵画展、露出展示に劣化・盗難防ぐ工夫(日経ネット)

京都国立博物館では、抱一の「十二か月花鳥図」を障子越しの自然光で展示しているんですね。「背後の障子は、紫外線をカットする塩化ビニールの樹脂を和紙と重ね合わせた特別製だ。土壁は京都伝統の聚楽壁で、湿度を一定に保つ「調湿効果」は抜群。」とのこと。保護・保存や防犯の点で難しい展示方法だと思うが、自らこういう見せ方を推奨してくれる個人コレクターのありがたさよ。プライスさん、本当に自分の集めた作品が大好きで、同好の士と「ねえ?これいいよね?!」と言い交わしたいんだなあ。いい爺ちゃんだなあ。
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2006年10月21日

「にゃんとも猫だらけ」UKIYO-e TOKYO

10月初めにオープンしたららぽーと豊洲の中に、浮世絵専門の美術館が入っているということで、行ってみました。浮世絵コレクションで有名な平木財団の所蔵作品を展示公開していくようです。
オープンしてまだひと月も経ってない週末とあって、人が多い。豊洲にこんなに人がいるのは初めて見た。UKIYO-e TOKYOはごった返す建物のちょっと引っ込んだ一角、中庭(?)への通路の途中にあります。暖簾がかかって、ぱっと見、わかりにくい入口。案外小さな美術館で、ちょっと大きめの画廊くらいの展示スペース。壁一面に、展示作品を拡大して薄い色で印刷した壁紙が貼り回してあって、ちょっと鬱陶しい。ほとんどは壁に直接作品をかけてあって間近で見られるのだけれど、一箇所だけガラス越しの壁がある。本来は肉筆の浮世絵用なのかな。

「浮世絵」で「猫」とくれば、歌川国芳。国芳とその門下を中心に、猫の登場する美人画や、「岡崎の猫」等を演じる役者絵、見立てを紹介。見立ての猫の顔は、ミュージカル『cats』のメイクに似ている。国芳の「野晒吾助」の、あちこちに紛れ込ませてある髑髏イメージが格好良かった。
ほとんどの作品は、猫の毛並みを空刷りで表現してある。やっぱり浮世絵は実物を見ないとわからないなあ。広重の「浅草田圃酉の町詣」もありました。窓辺で香箱になっている後姿の猫の丸みに沿って、空刷の凹凸がつけてあります。
この後、展示替えが2回あるそうです。「猫飼好五十三疋」はいつ出るんだろう?

ついでにららぽーと豊洲の中を探検してこようかと思ったが、人が多いのにうんざりして中止。ゆりかもめでヴィーナスフォートまで行って、買い物して帰る。
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2006年09月24日

「ロートレック・ミュシャ・シェレ ―19世紀末パリのポスターとモード」展 神戸ファッション美術館

1890年代、ポスター芸術の黄金期に活躍したアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック、アルフォンス・ミュシャ、ジュール・シェレの作品と、当時のパリモードを展示。
常設展の方のドレスもそうだけど、どこがどうなってるのか、マネキンから服脱がせて研究したい(笑)。コルセットはまだしも、クリノリン(スカートを膨らませるための骨組み)なんて、今の目で見ると冗談としか思えない。服の流行って不思議だね。

常設展の方に、手袋をつけて触ることのできるサンプルと型紙・縫い方の紹介があったが、時間がなくてゆっくり見られなかった。残念。もう少し予習してから行かないと、展示の流れがよくわからないな。
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2006年09月16日

「江戸琳派 抱一・其一の絆」展 細見美術館

京都駅からバスに乗って、京都会館美術館前で下車。平安神宮の手前で左に曲がり、道を渡ると細見美術館です。京都で試合開始までどこに行くかな、とサイトを見たら、ちょうど昨日から秋季特別展が始まっていたので即決。

「1. 抱一の試み」「2. 琳派の探求者、其一」「3. 江戸琳派の広がり」の3部構成で、最後のコーナーには池田狐邨、田中抱二、酒井鶯蒲、鈴木守一、酒井道一等。まとめて見ると、“雨華庵の作品発表会”という感じ(笑)。

抱一は「桜に小禽図」が出ていたのが嬉しかった。大瑠璃が可愛いのだ。
「白蓮図」を初めて生で見て、思っていたよりずっと明るい印象の画面に驚いた。胡粉で描かれた白い蓮の花の完璧な形。花の茎の、根元へ行くに従って外隈で表されるのが心憎いばかり。
身請けした小鸞女史と居を構えた正月に描いたという「紅梅図」(賛は小鸞女史)は、ほんのり幸せそうで良い。
「寒牡丹図」「寒山拾得図」の亀田鵬斎の賛が格好良かった。また習字を始めようかなあ。

其一(どうも上手い紹介文が見つからない)が面白いなあと思うようになったのは、師匠に“絵的な心地よさ”を学んだものの、「でも実物はそうじゃないよなあ」と現実の情景との間で折り合いをつけようと手探りしていることに気が付いたためです。だから、其一の絵は、風景写真のように感じる。「月に葛図」なんて、抱一ならばきっと、葛のツルはきれいなS字のラインを描いて流れ落ちるだろうが、其一はそこまでデザインを優先しない。情景を作らずに切り取ろうとする。生真面目に試行錯誤しているのが面白いのです。
「紫陽花四季草花図」の紫陽花の微妙なグラデーションが素敵。

「紫陽花図」は酒井道一のものもあったが、このグラデーションは何だかシステマチックというか、コンポジション的。
池田狐邨の大き目の屏風2点「四季草花流水図屏風」「小鍛冶図屏風」は、丁寧に描き込んであるはずなのに雑然として見える。色の選び方のせいか?

巻物の展示では、其一の「四季歌意図巻」が良かった。川と海の水の表現が素晴らしい。酒井鶯蒲の「近江八景図巻」も。この人の作品って、小品ばかりなのかな。

行きつ戻りつのんびりと2時間ほど見て、西京極へ。鴨川辺りまで出て土手下に下り、四条まで散歩したが、夏草・秋草を見ては「ああ、琳派だなあ」と思う(笑)。萩がこぼれるほどに咲いていた。京都の良いところは、街の真ん中に大きな川があることだよね。
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2006年09月02日

「花鳥の詩」展 山種美術館

閉館までもう少し時間がありそうなので、今度こそ東御苑を抜けて山種美術館へ。
こちらでも、プライスコレクションに合わせたのか、柴田是真の漆絵「浪に千鳥」が出ていた。漆の粘っこさを逆手に取って、筆先を荒らしたかすれた線で波頭を描き、逆にくっきりした黒で千鳥の群れを描く。上野で見るまで知らなかったけれど、この人、上手いなあ。
新しい方では、四曲半双の屏風、小山硬「海鵜」が格好良かった。屏風としては落ち着かないかもしれないが、真っ白の波しぶきとわずかな空の青の対比にはっとする。

その他、好きなもの。
横山大観「木兎」絵本みたい。
川崎小虎「仔鹿」名前は勇ましそうなのに、仔鹿はかわいいのだった。
福田平八郎「桐双雀」図案風、版画風。この柄で風呂敷が欲しい。
速水御舟「天仙果」天仙果とはイチジクのこと。構図がなんだか不思議なバランス。
杉山寧「榕」榕とはガジュマルのこと。夜のガジュマルの林に、鸚鵡が1羽。月明かり。
川端龍子「華曲」白獅子と白牡丹なのだが、獅子が蝶にじゃれついてひっくり返っている楽しげな屏風。分厚い肉球が!肉球がっ!!

次回割引券のデザインは、上村松篁「白孔雀」から速水御舟「バラ写生」になってました。今回、速水御舟の牡丹の写生画巻も出ていてこれも良かった。
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「花鳥」展 第5期 三の丸尚蔵館

5期に渡る「花鳥」展もいよいよ最終回。会期を追うに従って客が増えていった印象ですが、第4〜5期はプライスコレクション展と重なり、あちこちで合わせてCMされたため、一気に人が増えました。この日は会期最後の日曜ということもあって、かなりの混雑。でも「これが若冲?」「これじゃないよ」と言って他の作品を素通りされるのは、何かさびしいぞ。

第5期は、花卉と孔雀がテーマか。
作者不詳の「花卉図」が素敵。季節は無視して、竹で編んだ花籠に思いつく限りの花を入れ、入りきらずに周囲にも咲きこぼれている。花籠の持ち手に、小さい瓢箪がくくりつけてあって、その口にもレンゲとスミレが活けてあるのが可笑しい。

花と孔雀ではないが、第3期にもあった沈南蘋「餐香宿艶図巻」がもう一度、別の場面が出ていて、夏の草花と虫達が生き生きしていてとても良かった。若冲の「菜虫譜」に繋がる流れ。カエルもいるし。

孔雀は、森徹山「孔雀図」双幅と、師匠の応挙の「牡丹孔雀図」。
応挙の「牡丹孔雀図」は、今回のもの(雄の奥の足元に雌がうずくまる)、相国寺のもの(雄の尾羽の傍に雌が寄り添う)、ブリヂストン美術館のもの(雄の尾羽から少し離れて、雌が見上げる)と、有名なものが3点あるが、どれも雄のポーズはほぼ同じで、岩の上に立って尾羽を垂らし後ろを振り返っている。プライスコレクションに出ていた芦雪「牡丹孔雀図屏風」の元になったのは、岩の形と牡丹の配置から相国寺蔵の作品で、元絵から雌を省略しているが、雄のポーズは師匠と同じだ。孔雀の雄の構図はこう!というのが芦雪の頭に刷り込みされていたのかもしれない。比べると、芦雪の方がケレン味が効いていて、よりデザインっぽい。というより、少女マンガっぽい(「少女マンガっぽい」というのは別に貶めているわけではなくて、所謂少女マンガ的な絵というのは、正しく絵巻物以来の日本画に連なる描き方だと思っているので、「現代的」とでも捉えてもらえるとありがたいです)。芦雪は金色を強調するが、応挙は青を強調する。応挙の方がやわらかくて優しい。
森徹山も応挙門下で、しかもふんわりほわほわのお猿さんを描く森狙仙の甥(養子)なのだが、こちらの孔雀はものすごく力強い。くっきり輪郭線を書いて、背景はきっぱりと無し。双幅の一方は、雄のみを描いて、下から上に尾羽がピンと伸びる印象的な構図。鳥というより、青く光って恐竜の末裔という感じ。

そして動植綵絵。
「老松孔雀図」若冲の孔雀は、白孔雀。前の二人の孔雀に比べると、ほっそりして脚が長い。黒い老松の枝を背景に白い身体が浮かび上がって、どこか妖しい。若冲の中では、孔雀と、「老松白鳳図」の鳳凰は同じ扱いなのかな。どちらも色っぽいです。
「芙蓉双鶏図」第4期に出ていた「向日葵雄鶏図」は白地に紺の縞の朝顔だったが、こちらは白地に緋色の縞の芙蓉。これも対の絵なのかな。鶏のポーズがとにかく可笑しくて、多分、雄鶏は鶏冠がかゆい。雌鶏も、相方の曲芸のようなポーズを下からのけぞるようにして見上げている。動植綵絵の中ではいちばん動きのある構図。
「薔薇小禽図」画面右上から流れ落ちる薔薇の花々。右上の手前にある、白黒のボツボツ模様の物体は何なんだろう?岩? 謎の物体の模様だけでなく、薔薇の花々も同じような形で反復して画面を埋め尽くす。草間彌生的。生理的に不気味な感じだけど、偶然できた空間の枝の上にちょこんと小鳥がとまっていて、ちょっとほっとする。
「群魚図(蛸)」「群魚図(鯛)」錦小路の魚屋さんから買ってきて描いてたのかね。それぞれの魚の大きさは、比率が合ってないような気がするけれど(シュモクザメがやけに小さいし)、関心の高さの違いなのかな。それとも一応、絵の中に遠近があるんだろうか。ところどころに水の流れる線と、水草がチョイチョイと描いてある。水草の枝(?)の間は、梅の木と同じように暗くぼかしてあって、それだけで奥行きが生まれる。親の足にしがみついている子蛸もかわいいが、イカの1本だけ長い脚が、途中で水に霞みつつクルリと巻いているのがよい。
「紅葉小禽図」左側の円環上になっている枝だけでなく、右上から垂直に伸びる小枝の重なり・伸び方も普通ではない。描き込んであるようで、枝の根元や伸びていく先はあっさり省略してあったりする。紅葉の葉は、また同じ形の反復だが、微妙にグラデーションが入って飽きさせない。紅葉の奥には、すうーっと左上から右下へ影(?)が引かれているが、木漏れ日なのかな。これも画面に奥行きを生む効果。で、紅葉の赤と枝の黒の中に、お腹の真っ白な小鳥が2羽遊んでいて、ポイントになっている。何だかもう、上手いなーと。ただそれだけ。

ということで、動植綵絵全30幅を6ヶ月かけて見てきました。一度に30幅を初めて見るより、ゆっくり咀嚼しながら見ていくことができて、なかなか良い展示スタイルだったかも。さて今度は来年、承天閣美術館でまとめて見るのが楽しみです。

第1期の感想
第2期の感想
第3期の感想
第4期の感想
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2006年08月22日

美術展メモなど

「旧朝香宮邸のアール・デコ」旧朝香宮邸
7/8〜10/1。改修完了したので、これまで非公開だった小客室が公開になります。
8/26〜8/31(午後6時〜8時・入館は7時30分まで)には夜間公開も。うわー、むちゃくちゃ綺麗でしょうね。

「花鳥の詩」山種美術館
8/19〜9/24。山種美術館は、行くと次回に使える割引チケットをくれますが、そのチケットに使われている上村松篁「白孔雀」が出ます。かわいい。

「日本×画展(にほんガテン!)」横浜美術館
7/15〜9/20。しりあがり寿、小瀬村真美、中上清、中村ケンゴ、藤井雷、松井冬子の6人展。ちなみに、春にMOTであった「MOTアニュアル2006 No Border―「日本画」から/「日本画」へ」で取り上げられていたのは、篠塚聖哉、天明屋尚、長沢明、町田久美、松井冬子、三瀬夏之介、吉田有紀。

ホテルオークラの「花鳥風月―日本とヨーロッパ―」は24日までなので無理だな。
暁斎記念館も「カエルと仲間たち―動物戯画の世界展―」をやっているのだが、25日までだった。うう、チェックし忘れ。

「パリの空のポスター描き レイモン・サヴィニャック」川崎市市民ミュージアム
9/16〜11/5。グッズを買い込みそうで怖い…。

「応挙と芦雪」奈良県立美術館
10/7〜12/3。行きたいけど、奈良!! …うーん。無量寺の虎も出るようなんですが。

ところで納富さんに世田谷文学館の坂口安吾Tシャツを教えてもらったが、むしろ植草甚一Tシャツの方が欲しいです。安吾TシャツはT田さんが作ったヤツの方が好き。缶バッジは欲しい。
もうひとつところで、上の文豪Tシャツを作っているページ屋さんが制作に加わっている『作家の猫』(夏目 房之介 他/平凡社コロナブックス)が良いです。稲垣足穂が褌一丁で執筆する部屋の窓から飛び出していく猫の写真が最高です。『太陽』の記事を再構成したようですね。
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2006年08月18日

「若冲と江戸絵画」展 国立博物館

結局午前中は家事を片付けて、午後から納富さんと上野へ。お互い3回目の鑑賞。
3回目になって、ようやく引いて眺める余裕ができて、細部に目を凝らさずにあーだこーだ言いながらのんびり見て回る。
バークコレクション展のときは、いかにも上品、趣味の良い女性のコレクション、という印象を受けた。プライスコレクションにも個性があって、こちらは、何と言うのか、ちょっと悪趣味なものも面白がって集めてしまう男の子。B級のチープでキュートなSFやマーベルコミックスに通じるものがある、と思う。コレクションの基準が、「綺麗」というより「面白い」なんだよね。ワクワクしている感じが伝わってくるから、こっちも夢中になる。
今回の展示でいちばん好きだったのは、若冲「花鳥人物図屏風」。これは本当に、見れば見るほど「参りました」と土下座したくなる。奇想派も江戸琳派も楽しかったが、応挙について印象が変わったのは大きかった。出口の手前の「懸崖飛泉図屏風」で吃驚したのだけれど、自分の中でようやく所謂本道の人の絵を見る準備ができたのかもしれない。応挙展をもう一度やってほしいなあ。

常設展示の中を抜けて出口へ向かう途中に、河鍋暁斎の「山姥図」が展示されていた。国立博物館が持ってたのか。写真ではよく見ているが実物は初めてで、よく見ると、古い壁画であるかのように人物の中まで全面をわざと汚してあるのがわかった。右上の部分が何なのか、不思議だったんですよね。壁が剥落しているのを表していたのね。

東京駅でご飯食べて帰宅。納富さん、どうもありがとうございました。
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2006年08月01日

「花鳥」展 第4期 三の丸尚蔵館

遅い昼食後に東京駅から歩いて三の丸尚蔵館へ。
第4期には、酒井抱一「花鳥十二ヶ月」の別のバージョンが出ている。一部の月の題材が異なっている他、プライスコレクションの方が図案化が進んで派手な印象。三の丸尚蔵館の方は、おっとり優しい感じがする。

若冲は、まず「旭日鳳凰図」。いつも凄いと思うけれど、これは何と言ったらよいのか。西陣織やペルシャ絨毯を思わせる、精緻で絢爛豪華な描き込み。銀・白金・茶・緑・ピンク・薄青、およそ結びつかないように思われる色の羽で着飾った鳳凰。赤い嘴とくねくねとしたとさか、お尻にのぞく赤い羽が艶やか。細い目つきが色っぽい。紅を差して簪を挿して赤い襦袢をのぞかせた花魁だ。こんな夢の生物を、普通の背景に置いてはいけないというので、周囲の波頭はくるくると渦を巻いて飾りを作る。何ともゴージャス。

今回の動植綵絵は次の6点。
「老松白鳳図」。「旭日鳳凰図」が極彩色のゴージャスなら、こちらは若冲お得意の輝く白。それもただ白金ではなくて、首周りの羽には丸い模様が入り、パールをちりばめたように見える。ゆらゆらと後ろに伸びた尾羽の先には、赤と緑のハートマーク。「旭日」の鳳凰に比べるとやや初々しい(笑)。そう言えば、日本の伝統文様には、ハートマークにあたるものが無いような? 土偶の顔や伊万里の模様等で見かけるので、あの形が無い訳ではなさそうだが。
「向日葵雄鶏図」ゴージャスな鳳凰と並べたせいか、こちらの雄鶏は渋い印象。白に青い縞の入った朝顔が、粋な着物のよう。向日葵の茎がまっすぐに伸びず、ぐるりと曲がるところが若冲的。向日葵は17世紀中頃に清から伝わったそうです(アメリカ→スペイン→フランス→ロシア→中国。遠回り)。若冲の生まれる数十年前か。お江戸や京の都にヒマワリってシュールな気もするけれど、案外古くから栽培されていたんだなあ。
「大鶏雌雄図」雄鶏が奥、雌鶏が手前。この絵は、珍しく、雌鶏が主役であると思う。鶏冠だけが赤い、真っ黒の雌鶏。黒い羽の重なりが丁寧に描かれる。ぱっと見て、カルメンだと思ったのです(笑)。手前で上半身を捻ってフラメンコを踊っているのだ。背景はわずかな、というよりほんの1本の線で描かれた土坡のみ。その点でも、動植綵絵の中では珍しい。
「群鶏図」こっちは雄鶏がぎっしり。目がちかちかしてくるような様々な羽模様。コッコッコッコッコッ…という鳴き声と、せわしない動きが伝わってくる。本当にまあ、よく描いたものだ。全部で13羽。若冲は、間違い探しみたいな描き方が好きですね。
「池辺群虫図」これは楽しいよね。目線の高さなんて気にしない、子供がとにかく好きなものを並べた感じの絵。おんなじ方向を向いて並んでいるカエルが好き。カエルって実際にああいう一方向を向いた座り方をする。ぐいんと伸びたひょうたんと、くるくる巻いたツル。手が遊ぶままに描いた感じで気持ちがいい。
「貝甲図」これも気持ちは「群虫図」と同じで「いろいろ描いてみよう」なのだけれど、もう少し気を配って配置している。「群虫図」の虫達は自分で動くけれど、貝はわかるほど動かないからね。画面全体に置かれた貝の間を、極端にデフォルメした、くるくる巻いた潮が繋ぐ。どこが主題だ、というより全部が主題、というかパターンデザイン。こんなに大きいけれど、全体で1つの文様。1枚の絵として見ると、相当不思議な絵だと思う。

第1期の感想
第2期の感想
第3期の感想
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「若冲と江戸絵画」展 東京国立博物館

上京中の母と一緒に2回目へ(1回目の感想)。

1回目が支離滅裂なので改めて書いておくと、全体は6部構成となっている。「1 正統派絵画」「2 京の画家」「3 エキセントリック」「4 江戸の画家」「5 江戸琳派」「特別展示 光と絵画の表情」。若冲は「3 エキセントリック」にて。また、「特別展示 光と絵画の表情」の変化する照明による展示は、東京会場のみで行われるらしい。

1回目のときより混んでいて、数珠繋ぎに連なって見る状態ではあったが、入場制限を行うほどではなかった。自分などは2000年の京都国立博物館の若冲展(このときは行ってない。カタログは買った)以来、こんな面白い絵があったのか、日本画って他のも実は面白いんじゃないか、と取り憑かれて騒いでいる訳ですが、若冲って世間一般にはまだそれほどメジャーな画家ではないんですかね。混むのは嫌だが、面白いのでもっと見に行ってほしい。
「鳥獣花木図屏風」の前は、さすがに混雑してました。2月に出た『もっと知りたい伊藤若冲―生涯と作品』(佐藤康宏/東京美術)で、佐藤氏は「若冲の画とは認めません」と述べているが、どうなのかね? 動物がいちいちマヌケな顔で可愛いので、好きですけどね。1回目のときにルービックキューブを買ってしまいました。
今回あった若冲の中では、「花鳥人物図屏風」「鶴図屏風」「葡萄図」「猛虎図」が好き。偏執狂的な細密画の一方で、簡略化も若冲の得意技(細密画でも、決して実物そのままではなくて、エッセンスをデフォルメしている)。空間構成と濃淡強弱の巧みさも特徴。

今回の展示は、プライスコレクションの約1/6だそうです。いつかロサンゼルス郡立美術館(LACMA)に見に行きたい。
あと、承天閣美術館の改築工事が終わったようで、来年の若冲展が決まりました。2007年5月13日(日)〜6月3日(日)。「釈迦三尊像」と「動植綵絵」が118年振りにまとめて展示されます。ちゃんと「釈迦三尊像」を荘厳するように展示されるかな? 承天閣美術館には、以前、「大典禅師と若冲」展を見に行ったことがあります。鹿苑寺(金閣寺)大書院の障壁画がそのまま再現されていて、どの部屋も格好良かった。特に一之間の葡萄が素晴らしかったです。プライス氏が最初に惚れ込んだ「葡萄図」と同様に、葡萄のツルが床の間の違い棚に絡み付いて、実際にはあり得ないのに本物らしい空間を作っていました。あそこに住めたらなあ。
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2006年07月15日

「若冲と江戸絵画」展 東京国立博物館

makiさんと朝から上野へ。

何から書いていいのか。あまりにも好きな作品が多すぎる。若冲が好きな人ならこういう絵が好き、というのが、本当によくわかる。
入口では、芦雪の虎がお出迎え。全体に、虎図が多くて、それぞれの描き方の違いを見比べるのも面白い。毛描きの手法を取るにしても、1本ずつの毛の描き方も違うのだな。皆、生きた虎を見たことがなく毛皮から想像して描いているので、プロポーションも動作もバリエーション豊か。
実は、楽しみにし過ぎていて、第1会場を見終わったところではこのままでは第2会場を終えても物足りないような気がしていた。が、最後の「光と絵画の表情」のコーナーで、ガツンと来た。「日本美術を鑑賞する際、光の果たす役割は非常に重要である」というプライス氏の持論のもと、作品を隔てる無粋なガラスを取り払い、自然光の変化に似せて照明を変化させる展示が行われている。日頃、自宅で普通に屏風や掛軸を飾って見ている人でなければ思いつかない発想だ。フラットでない明かりの下では、こんなに見え方が変わるのか、と愕然とした。金屏風に当たる光の明るさが変わるとき、胡粉の白がふうっと浮かび上がる。金箔・金砂子・金泥がそれぞれ異なる輝き方をして、雲・霞・地面が別の質感になる。金砂子の乱反射で、ちゃんと霞がかかって情景が隠されたように見えるのです。照明を落としたときに幽霊画では幽霊が浮かび上がるし、風景画では絵の中に霞がかかったり月明かりに照らされたりしているように見える。明るくなると、急に霧が晴れたように見える。目から鱗が落ちまくりだ。何年日本人をやってるんだ。
あと、makiさんが言うように、金屏風には室内照明の補助装置の役割もあったのかも。これも使ってみないとわからないことだ。

もう、楽しくて楽しくてどきどきしっ放し。若冲は天才だし、芦雪はかっこいいし、抱一はひたすら気持ちいいし、其一はある意味師匠以上に繊細かつ大胆。初めは何となく構図が決まらないような気がしていた其一だが、近代美術館の琳派展で見た六曲二双の朝顔の屏風でいきなり好きになった。今回、抱一の三十六歌仙図の色紙を貼った四季草花図の屏風を見て、師匠と同じ朝顔の描き方だったんだなーと思ったが、目指すものは違うんだな。
礒田湖龍斎「雪中美人図」の雲母で描いた薄物、池観了「山水図」のスーラみたいな点描、柴田是真「山水図」の色漆、「紅白梅図屏風」の胡粉で盛り上げた花の存在感、一瞬を捉えた森狙仙の猿。河鍋暁斎の地獄太夫を覗く閻魔や、酒宴に顔を顰める画中画の達磨は風刺が効いているし、山口素絢「美人に犬図」で袂にじゃれつく子犬の顔はどう見てもエロ親父だ。面白い表現にはキリがない。
今まで応挙は真っ当過ぎてあんまり面白くないと思っていたが、「赤壁図」の水面に映る月と、いちばん最後に展示されていた「懸崖飛泉図屏風」で、真っ当過ぎるなんてそんな単純な評価ではダメだというのがよくわかった。「懸崖飛泉図屏風」で、照明が明るくなって霧が晴れたとき、自分の頭の思い込みも取り払われました。

久しぶりに晴天で朝から猛烈に暑かったはずが、見終わって第1会場と第2会場の間のホールでグッズを見ていたら、遠くで雷が聞こえた。ふと外を見ると、一転、ドシャ振りになっていた。後で聞いたら、立川辺りでは雹が降ったとのこと。にわか雨だろうと、1階の「親と子の親と子のギャラリー」を見て出てきたら、30分程でもう晴れ渡り、地面も乾き始めていた。今年はどうも、天候が安定しませんね。
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2006年07月04日

こっちも開幕

しつこいようですがプライスコレクション「若冲と江戸絵画」展、ついに今日から開幕です。前売りはとりあえず2枚購入してある。夏休みが始まる前に、平日に休んで行けるといいなあ。アウェイ京都戦&社員旅行がもうちょっと遅かったら、京都展も見に行けたのになあ。若冲もだけど、其一がたくさん来るのが嬉しいです。芦雪の「白象黒牛図屏風」も!
8日のプライス氏の講演会は、残念ながら抽選から外れてしまいました。29日の辻先生の方も、難しそうだ。オフィシャルサイトが講演全文をアップしてくれると嬉しいのだが。
先週・今週と、『美の巨人たち』でプライスコレクション関連の画家を取り上げています。先週の「外伝 京都日本画ルネサンス」は、TdF開幕と重なって見逃してしまった…(サイトに掲載の画面とキャプション、池大雅と与謝蕪村の部分の内容がずれてますねー)。
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2006年06月25日

日本科学未来館 with 小学生

思い立ったが吉日、という訳で、H林さんと小3のリョウ君と一緒に科学未来館へ。船の科学館駅よりテレコムセンター駅から歩く方が、多分入口へは近いです。
5Fをぶらぶらして時間直前にVRシアターへ行ったら、あやうく人数制限(30人位?)にかかるところだったが、無事に3D眼鏡を受け取って中へ。4D2Uの映像を立体視できて楽しい! 天体もWeb上ではベクトルの線描だが、ちゃんと輝く星になっていて美しい! 普通のプラネタリウムの番組と組み合わせて使えれば、もっと色々な使い方ができそうだが、投影機等とは設備がまた違うのだろうなあ。外の展示に探査機のスウィングバイの仕組みの解説があったけれど、4D2U上で探査機視点の映像で見られると面白そう(アニメ的な演出を取り入れて、飛んで行こうとしたら重力に捕まって振り回されるのだ)。上映が終わってから残って、コントローラでぐりぐり遊ばせてもらいました。
未来館には初めて行ったが、かなり広くて、展示も工夫されている。分野も広い分、あれもこれも詰め込んでややまとまりに欠けるのは仕方がない。…扱う内容がまったく違うとは言え、江戸東京博物館あたりには創意工夫を見習って欲しいものだ。
国語は嫌いだけど理科は好きというリョウ君は、よくわからないなりになかなか楽しそうでした。良かった良かった。しかし元気だね、小学生は。
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2006年06月24日

「花鳥」展第3期 三の丸尚蔵館

花鳥展第3期は、元・明代の中国花鳥画との関わりがテーマらしい。
「百鳥図」伝銭選は、思わず鳥の数を数えてしまった(笑)。90羽以上いるのは確かなのだが、しるしでもつけないと途中でわからなくなる。鳳凰の目を弓なりに描くのは、何故なんだろう。この絵の鳳凰も色っぽい。
「花鳥図」伝呂紀では、土坡(岩?)にいくつも穴が開いて、奥の草の葉がのぞいて見えている。こういう描き方も、ちゃんとルーツがあったのか。若冲は誰のどの絵から学んだのだろう。
「餐香宿艶図巻」沈南蘋だけ清代の作品。何気なしにスイスイーッとこんな絵を描けたら、楽しいだろうなあ。春の野原。カエルがかわいい。

今回の動植綵絵は下記の6点。
「梅花小禽図」他の梅の絵は月夜だが、これは昼間にやってきた小鳥達の絵。小鳥の視線を辿っていくと、皆が見つかる。仲良さそうです。
「秋塘群雀図」粟の実を食べに来た雀の群れ。画面の上半分には、飛んで来る雀達をほぼ同じ形でいっぱいに並べる、意表を突いた構図。群れの中には一羽だけ白い雀が混じり、アクセントになっている。パターンを並べて作った画面は、写生ではなくて心象風景。ざーっとやってくる雀のにぎやかさが伝わってくる。
「紫陽花双鶏図」この絵で目を引かれるのは、雌鶏の尾羽の先にある丸い模様。水滴が光るような、たくさん目があるような、不思議な光沢がある。目を引かれるもうひとつは、モザイクタイルを貼り込んだような紫陽花。その下のつつじは、ムラ染めにした夏用の薄いシフォン。植物を描いても、質感がまるで違うのが面白い。
「老松鸚鵡図」ぼんやりと茂った黒い松の枝にとまる、(これも)白銀の甲冑を着込んだような2羽の鸚鵡。それだけでは暗い画面になるところを、ここしかないという位置に置かれた青瑪瑙の色のインコ。さらに、この色しかないという緋色の飾り羽。何だろうね、このバランス感覚は。
「芦鵞図」でーんと鵞鳥が描かれているけれど、絵の本当の主役は背景のススキではないか。普通なら、付け根から穂先へ向かってスーッとススキの穂を描くところを、穂先から荒らした筆でガッと描きなぐる。描きなぐってあるんだが、穂がほわほわと開いてカラカラに乾いたススキが気持ちよさげに見える。でもこの時期のススキ野原に踏み入ると、手を切るは転ぶと茎が刺さるはで危ないんだよねー。
「蓮池遊魚図」いつもアール・ヌーボー?と思う。画面を囲む蓮は、見下ろしているのか横から見るのか、視点が一定しない。蓮に囲まれた中では、一方向へと泳ぐ魚を、これは横から眺めている。ポスターデザインみたいなのだ。この絵の無重力感も気持ちが良い。

第1期の感想
第2期の感想
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2006年06月07日

開催迫る

あちこちの駅で「若冲と江戸絵画」展の宣伝パネルを見るようになりました。公式サイトも正式オープンしています。
応募キャンペーンは終わってしまいましたが(はてなじゃないから申し込みできなかったよー)、若冲ルービックキューブをグッズとして販売するそうです。元に戻す自信がないから遊べない…。

以前、高円宮コレクションの根付を見に行ったときに、若冲の龍(正面向きのなさけない顔のヤツ)と虎(前足なめてるかわいいヤツ)が掛軸から抜け出して立体化しつつある場面を作ったものがあって、欲しかったなあ。プラスチックで廉価版を作ってくれたら買うのに。
そうそう、高円宮コレクションの中には、ヤタガラスとサッカーボールの根付もありました。あれも欲しかった。
posted by kul at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展/イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする